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代金を回収する手段のひとつとして代物弁済があります。
倒産についてはQ12「倒産」をご覧下さい
代物弁済
代物弁済とは「債務者が、債権者の承諾を得て、その負担した給付に代えて他の給付をしたときは、その給付は、弁済と同一の効力を有する」(民法482条)と法定されている弁済の方法です。
要件
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1 当事者間に債務が存在すること
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2 本来の給付と異なる給付がされること
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3 給付が弁済に代えてなされること
- 4 債権者の承諾があること
効果
代物弁済としての給付は弁済と同一の効力を有する(民法482条)ので債務は消滅します。
破産手続きでの代物弁済
具体的には 本事例ではB商店の所有している物(他の債権者又は取引先から仕入れた商品でBの所有物である物も含む)や債権を債権者であるAが自己の所有とする代わりに、A商店の債権が(弁済されたことにより)消滅となる行為です。
B商店が破産手続を申し立てた後や支払い不能になった後は(後述しますが)破産管財人により否認されて代物として給付を受けた物を返還しなければならないことがあるので注意が必要です。
適正な代物の評価の必要性
代物弁済の対象となる他の給付の価値が適正に評価されないと、代物弁済をうけた債権者が損失を受ける場合や(代物の価値<債権額の場合)、否認されて価額の一部に該当する部分を返還しなければならない場合もあります。
(代物の価値>債権額の場合)
否認権の行使については「破産手続と否認権」をご覧ください。
否認権が行使される場合の状況として
1「偏頗弁済になる場合」(破産法162条)と2「代物弁済を受けた債権者の給付の価額が破産債務者の債務の額より過大である場合」(破産法160条2項)があります。
否認権が行使された場合は「代物」又は「過大に給付を受けた利益分」を破産財団に返還しなければなりません。
偏頗弁済とは
債権者平等の原則に反し、一部の債権者に対して弁済や担保の供与が行われ、他の債権者には不利益となる場合の弁済行為のことです。
弁済額が適正であっても、他の債権者との平等や公平を害することになりますから、偏頗行為となります。
偏頗行為が否認される場合
@破産者が支払い不能になった後又はA破産手続開始の申立があった後にした行為であり、かつ債権者がその行為の当時、@の支払い不能後にされたものである場合は支払い不能であったこと又は支払いの停止があったことを知っていた場合、
Aの破産手続開始の申立があった後にされた場合は、債権者が破産手続開始の申立があったことを知っていた場合には、否認することができます。(破産法162条1項)
偏頗弁済以外の場合でも否認権行使の対象となる場合があります。
代物弁済を受けた債権者の給付の価額が破産債務者の債務の額より過大である場合代物弁済の対象となる物品や権利の価値が債権額に比較して過大であった場合は(代物の価額>債権額の場合)否認権の対象となる場合があります。
代物の価額が債権額よりも過大に大きい場合他の債権者を害することになるからです。
1か2どちらかの場合に否認権の行使対象となります。
1 支払い停止後又は、破産手続申立て後{代物弁済を受けた債権者が支払いの停止及び他の債
権者を害することを知っていた場合}に代物弁済を受けた場合
2
破産債務者が破産債権者を害することを知っていた場合でかつ代物弁済をうけた債権者が他の
破産債権者を害することを知っていた
1か2かどちらかであれば「代物の価額―消滅した債権額」の部分に限り、否認権を行使される可能性があります。
(破産法160条2項)
また代物の価額と債権額の関係が適正でも上記の偏頗弁済に該当する場合は破産管財人により否認権を行使される可能性があります。
(破産法162条1項)
支払不能とは、債務者が、支払能力を欠くために、その債務のうち弁済期にあるものにつき、一般的かつ継続的に弁済することができない状態のことをいいます
(破産法2条11項)