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藤田司法書士事務所 債権回収・売掛金・代金請求  
 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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債権回収具体事例2(個人間貸借)

  トップページ>債権回収具体事例2 
 

                 A君の貸金の返還請求
   〜契約書(借用書)がない個人間の貸借での返還させる手段・方法〜

         
     

        A君の貸金返還請求 
    〜個人間の貸借で法的手段による返還請求〜
     相手は金が無いからと貸金を返さない
    

          

    知人や身内にお金を貸したけれど、返してくれない。
    担保を取っているわけではないので泣き寝入りになるのか?

    いやいやあきらめることはありません。
    あらゆる手段をとっていけば道は開けるものです。

    個人間の貸借については、知らぬ仲ではないので契約書面(借用書)を
    取り交わしていないことが多いです。
    証拠がないといくらなんでも法的手続きはとれないんじゃないか?
    決してそんなことはありません。

    確かに客観的証拠がない場合、法的手続きにおいても有利な展開には
    なりません。
    全く証拠となるものがなく、相手側に「借りていない」と主張された場合には
    裁判で負けてしまうこともあります。

    しかし、相手が嘘をついてまで争ってくることはまれで、
    〔ないとは言いませんが〕貸した事実があれば、どこかに何らかの手がかり
    があるものです。

    お金の流れの記録や、メモ帳、日記、証人等ささいなものも証拠になります。

    「もう返ってこない」とあきらめてはいませんか?
    一人悩んでいないでご相談ください。

    債権回収の流れ、手続きをわかりやすく、具体的事例を用いて説明して
    います。

    事例は、司法書士の経験や法令・判例に基づいて作成していますが、
    様々なケースのなかの一例ということでご理解ください。

    ※以下の事例は債権回収の手続をわかりやすく理解してもらう為に
     債権回収の経験者が(貸金を返してもらえない)知人に経験に基
     づき手続を説明するという形式をとっています。

    A君の貸付

    Aさんは友人のBさんから、
    「事情があってお金を貸して欲しい。」と頼まれて貸したことが複数回あり、
    貸金額は総額30万円になりました。

    それから半年たちました。
    Aさんもいろいろの支払いに迫られ、Bさんに
    「このまえ、貸したお金返してくれないか」と返済の催促をしました
    しかし・・・・

    司法書士への相談
    「せんせー なんとかしてよー」
    「これはA君、ひさしぶり、いきなりどうした?」

    A君は司法書士と近所の知人で法律を勉強していて時々事務所に遊び
    にきます。
    「いや、じつはBさんにお金を貸したんだけど、かえしてくれないんだよー」
    「ふーん、こまったねー、ところで、Bさんはどういってるの?」

    「他人事みたいにあっさりいわないでよ。
    Bさんは、借りるときには『すまんすまん、助かるよ。必ず返すから』と
    言ってたのに、催促すると『返したいが、今金がない』とか、
    『いつかは返すから』といって返してくれないんだよ。

    最近になると開き直ってきて、
    『確かに金は借りたが、返す期限はきめてなかったよな。
    だから、今返す義務はない』なんて言い出す始末」

    貸借の事実を証明する手段

    「借用書は作らなかったの?」
    「うん、それが友人同士だし、改めて作るのもなんだし。
    口約束だけで」
    「誰か立ち会ったりはした?」

    「いや、それが、Bさんもあまり(お金を借りるのが)格好いいことじゃない
    んで、特にかかわった第3者はいないんだ」
    「お金の受け渡しは口座なんかへの振込みじゃなくて現金手渡し?」

    「うん」
    「貸したことを証明するようなものは(今言った)他にある?」
    「いや、それが全然(ない)、これじゃー返済を求めるのはムリ?」

    「もし、Bさんが『オレは借りた覚えはない』なんてことを言ってるとしたら、
    貸した事実を証明しなくちゃならなくなるんだが、その際に貸した証拠が
    何も残ってないとその証明が厳しくなるね。

    しかしあきらめる必要はない。
    貸した事実があれば、何がしかの痕跡はあるはずだから、探していこう。」

    「貸付を証明するものがなかったとして、もし、口座振込みだと大丈夫なの?」
    「口座振込みだとAさんからBさんへのお金の流れが記録されてるから、お金
    を渡した証明にはなる。
    しかし、Bさんが『そのお金は確かに受領した。
    しかし、それはもらったもので、借りたものじゃない。』
    と言われるとまた、振り出しにもどってしまう」

    「だから、借用書とかを書いてもらうのが重要なんだね」
    「確かに借用書は決定的な証拠になるね。
    しかし、親しい知人同士だと今後も良い人間関係を構築していきたいと
    思ってると、『借用書いてくれ』とは、いいづらいよね。」

    「じゃー僕の場合、もうだめ?」
    「いやいや、まだまだ手はある。
    裁判で認めてもらえるかどうかはともかくね。
    いろんな方法を全てやってみてそれからでないとあきらめるのは早い。
    しかし、A君の場合は借主(B氏さん)が借りた事実は認めているんだから、
    今のところ、貸した証明はしなくても良い。」

    返済期限を定めていない場合

    「先生、それとあとひとつ問題が・・・
    B君がいうように「返済の時期」を決めてないんですよ。
    これだと、いつまでたっても催促できないの?」

    「いや、そんなことはない。
    それは民法でいうところの「期限の定めのない消費貸借」に該当する。

    民法で「当事者が返還の時期を定めなかったときは、貸主は、相当の期間
    を定めて返還の催告をすることができる。」(民法591条)
    と定められていて催告(請求)後相当の期間が経過すると借主は支払い義
    務が生じる。

    だから、A君は『○月○日までに返済してくれ』といえば、その日までに返済す
    る義務がBさんに生じることになる。」
    「相当の期間って具体的に何日なの?」

    「これは、法律でも判例でも、具体的に何日ってきまってるわけじゃないんだ。
    (判例ではケースバイケースで判断がされている)
    金額の大小と返済までの期間を考察して常識的に逸脱した期間でなければ
    「不相当だ」とはならないと考えていいと考えるよ。」

    「それじゃー、こちらで相当の期間を決めて連絡するよ。
    しかし、それでも払ってくれないとどうしたらいいの?」
    「そのときは、また相談に来ればいいよ」

    借主(債務者)の状況

    「せんせー まただめだよ。期限を決めて催促したんだけど、
    『今は、金が無いんだ。オレに強盗でもしろって言うのか』
    と開き直られちゃって」
    「うーん、困ったね。Bさんはそもそも返済に充てる資金が実際にないの
    かね?」

    「B君がそれだけ、金を持っているのか全くわからないんだ」
    「Bさんは仕事してるの?」
    「えー、C商事で働いてるよ」

    「Bさんは他の人や、金融機関からも借りてるのかな?」
    「それはちょっとわからないよ」

    「わかった。たぶん、A君は人が良くて、人間関係を大事にする人だから、
    あまり強い言い方もしない。
    それもあって、相手方が真剣に『返さなきゃ』という気持ちにならないという
    こともあるかもしれない。」
    「たしかに、B君は体育会系で、顔も怖くて、B君の前に出ると強くいえない
    んだよ」

    借主(債務者)から返済させるには

    「僕も、過去、債権回収の業務をやってたんだけどね、
    債務者はいろいろ分類される。
    1、返せる能力があるのに返さない人
    2、返せる能力が無くて返せない
    3、 他の人からも借りていて、Aさん一人分なら返せるが、返さない

    1の場合は相手に「返さないといけない」と思わせればよいわけです。
    3の場合は、返せる能力はあるが、返す順番が他の債権者に比較して
    後位の順番になっている。
    つまり「優先順位が低い」状態になっています。
    これを1と同じく「Aさんに優先して返さなきゃ」と思わせればよいのです。」

    「それには、どうすればいいの?」
    「2つある。まず、法的な手続きを利用すること、
    2つめに債権回収の専門家にまかせること」
    「債権回収の専門家ってどうやって探せばいいの?」

    「そのうちの一人は、A君の前にいるよ」
    「えー、先生も専門家なの?」
    「長くなるから司法書士の沿革を話すのはよすが
    (興味のある人は「司法書士の債権回収の範囲 」をご覧ください)
    司法書士も裁判手続きのお手伝いをしたり、代行したりしているんだ。」
    「専門家にまかせるとどんな良いことがあるの?」

    専門家に依頼した場合のメリット
    「まず、借主は、返さないといけないとは考えているものの、返さなくても
    このまますむのならいいやという考えも生じてくる人もいる。
    そんなときに、友人知人だとつい甘えてしまって、返さなくなる人も多い。

    そこに法的に債権回収が認められている専門職から連絡があると、
    それだけで返済する人も少なくない。
    まず、専門職に依頼するということで「貸主は本気で来たな」と思わせる。
    そして「法的手段の専門家だから、ただのおどしでなく、ホントに法的な手続
    きするかも」と思わせる。

    これによって、催促の連絡でも返済しなかった人でも、法的手続きを踏んで
    いく過程でどんどん返済してくる。(場合が多い)

    最後まで(法的手続きの最終段階まで)いっても返済しない人は、
    「ほんとにお金が無くて返せない」という人(の可能性も考えられる)のだが、
    本当に返済能力がない人は債権回収の段階の中で判明してくるんだ。」

    (債権回収)事前の情報収集

    「じゃー先生、Bさんへの債権回収を依頼した場合どんな手続きするの?」
    「まず、面談で借主との契約内容、契約書の存否、借主の資産状況
    (就業先、口座、自動車、その他資産的な所有)、
    借主との返済についての交渉経過を聞くよ。」

    「借主の資産をきくのはなぜ?」
    「借主が、すぐ返済してくれたらいいけど、返済してくれない人には『強制執行』
    といって、(無理やり)強制的に資産から回収する法的手続きがあるんだけど、
    資産自体がない場合は回収しようがないからね」

    「借主の資産が全く分からない場合はどうなるの?」
    「調査可能な資産については、調査することも出来るが、基本的にその人の
    資産て言うのは個人情報だから、調べるのは難しいね」
    「じゃー債務者の資産が不明の場合は回収ができないんだね」

    財産開示手続

    「(平成16年4月1日に施行された)「財産開示手続き」というのが
    (平成15年7月の民亊執行法改正で)、民亊執行法(196条以下)に
    定められたんだ。
    この手続きは,勝訴判決等を得てもその実現を図ることが困難である
    現在の制度の問題点を認識し,権利実現の実効性を確保する見地から
    創設されたんだ。

    この手続きを簡単に言うと債務者が裁判所に呼び出され、宣誓をした上
    で財産内容を開示する陳述を行わせる。
    債務者が財産開示期日に出廷(出頭)しなかったり、宣誓を拒んだり、宣誓
    したのに虚偽の陳述をした場合は、30万円以下の過料の制裁をうける。

    場合によっては、強制執行不正免脱罪(強制執行を免れる為に財産を隠
    匿する行為をした場合に罰せられる)に該当することも考えられる。」

    「それはすごい。
    これで、財産を隠して返済しようとしない人がいなくなるね」
    「うーん、どうかな?
    僕は、債権回収の経験者の立場からいわせてもらうと、
    実効性に少し疑問があるね。
    資産があっても虚偽の陳述をする人もいるんじゃないかな?」
    「しかし、(嘘をつくと)制裁があるんでしょ?」
    「たぶん、そういう人は、嘘を言ってもばれないと思ってホントのことをいわな
    いんだよ。
    それに過料の制裁は最高30万円だから、30万円以上の財産を保有している
    人は、開示してしまうと強制執行されてしまうことがわかってるから、最悪の
    場合30万円を払っても開示しないほうが得だと考える人もいるかもしれない。
    しかし、まったくこの制度がなかったときに比べると資産を開示する人も
    でてくるだろう」

         令和2年4月1日の法改正により罰則は次のように改正されました。

    債務者が財産開示手続きに出頭しなかったり、出頭しても虚偽の陳述をしたよう
       な場合には、6か月以下の懲役又は50万円以下の罰金(民事執行法213条 
    令和2年4月1日改正法施行 それまでは30万円以下の過料の制裁だったのが
  、罰則が強化されました。)があり、(債権者の)権利の実現の実効性の強化が図
   られています。

   
    財産開示手続きについて詳しくは「財産開示手続き 」をご覧ください。

    債権回収の依頼

    「それじゃ、やりかたを教えてくれない?」
    「A君は知り合いなので、依頼者ではなく、知人として(債権回収の実務
    経験者として)説明しよう。

    それでは、まずBさんへの督促をしよう。
    先ずは文書や電話での催促だ。
    A君とB氏の間の貸借は「期限の定めのない消費貸借」ということになる
    から、A君からB氏に対して「○月○日までに払ってください」という相当の
    期間を定めた期限の定めのある催告をする。

    相当の期間というのは、具体的に何日間というのが法律の条文にあるわけ
    じゃない。
    判例でもケースバイケースで1週間や10日、2週間が相当とされたり、
    場合によっては1日のケースもある。
    A君は、期限を決めて催促したんだったね。」

    「うん、2週間後に払ってくださいって言うのを電話で言ったよ。」
    「請求金額から考えても、期間的にも充分相当の期間といえるね。
    それじゃ、2週間後の日に支払いが無かったら、催告書(請求を求める
    書面)を送ろう。」

    金銭消費貸借と利息

    「A君、B氏とは利息の取り決めはした?」
    「いえ、利息については何も。」
    「商売している者同士であれば金銭の貸し借りがあれば利息の約束をしなくて
    も当然に法定利息(年6%)がつくことになってるんだが、営業上の貸し借りで無
    い個人間の貸し借りであれば、利息の約束をしない限り利息はつかない。

    利息をつける約束をした場合でも具体的に決めなかった場合は年5%となるん
    だ。(民法404条)
    A君の場合は何ら利息に関する約束はしていないから、利息はつかないんだ
    が、相手が約束を守らないときは、損害賠償を請求できる。
    この損害賠償額は民法で定めがあって、5%の利息(法律上遅延損害金とな
    ります)を請求できるんだ。(民法419条)」

    「それじゃー僕の場合は、利息の約束しなくても、相手が約束守らなかった日
    から5%の利息を請求できるの?」
    「そういうこと。だから、催告書に遅延損害金を払えと記載してもいいんだ。」

    催告

    Bさんに対して、A君から電話をしたところ、電話に対しては応答が無く、
    催告書を郵送しました。
    書面を送ってから、1週間後
    「A君 どうだった?」
    「いまのところ、回答や支払はないようだね」

    「ところで、内容証明で催告書を送ったのはどんな意味があるの?」
    「内容証明になると訴訟等の法的手続きの前段階ということになる。
    郵便局にこの内容の文書を送ったことが記録として残るから証拠になるんだ。
    つまり、法律上の請求(催告)をしたことの証拠になるんだ。」

    「請求の証拠は必要なの?」
    「役に立つ最も典型的な例で言うと、消滅時効が完成しそうな場合に
    「時効の中断」(消滅時効の期間が進行を止められ、また、時効期間は
    振り出しに戻ること)として請求(催告)というのが民法(147条)で定めら
    れているんだ。」

    「そういえば、昔、先生に「消滅時効」について教えてもらったよね。」
    「そうなんだ。消滅時効については詳しくは「消滅時効の援用」を参照して
    ください」
    「それじゃーこの内容証明の発送は時効中断にもなるんだね」

    「時効の中断に該当する『請求』というのは、内容証明に限っているわけじゃ
    ないから、口頭でも普通の書面でも法律上の請求になるんだが、
    相手がそんなことは聞いていない、もらっていないといわれたら、
    『言った言わない』の水掛け論になるんで、証拠として残る方法(内容証明に
    よる郵便等)が実用的だよね、

    そして、通常、内容証明による(何らかの)請求というのは、
    (訴訟の前段階となるため)「宣戦布告」をすることと同義なんだ。
    だから、相手がこちらの本気度を感じ、法的措置も脅しじゃないと思って、
    支払ってくれることもしばしばなんだ。
    しかし、反面、相手側の態度を硬化させたり、長年の信頼関係も1通の
    内容証明で崩壊すると認識している人も多いので、

    相手側が自分にとって今後も信頼関係を保持していかなければならないとき
    は慎重に考えないといけない。」
    「B君の不誠実な態度には僕も考えを決めたので、内容証明を送ることにす
    るよ」

    内容証明の不到達

    「その後どう?」
    「内容証明がB君に届かず、返ってきたよ。これみてほしんだけど」

    「これってどういうこと?」
    「内容証明は、送付先の相手が受け取りのサインをしないと渡せないから、
    受け取りをしない場合や宛先に該当者がいない場合、送り主に帰って来る
    んだ。」
    「今回の場合は受け取り拒否?」

    「住所地に該当者がいないみたいだね。
    内容証明のように受け取りが必要の郵送物の場合、不在その他の理由で
    返ってくる場合が多いんだよ。
    不在通知に送り主が記載されているので、債権者や弁護士の記載があった
    場合は、受領しない人も少なからずいるんだ、
    だが、住居が移転したんだったら、まだ手はある。」

    「どうするの?」
    「B氏の住民票をとる方法もある」
    「住民票って本人以外の人がとれないんでしょ?」
    「債権者は、債権者であることの証明書(借用書等)を添付して申請すれ
    ば、債務者の住民票を(委任状なしで)取得できるんだ
    (住民基本台帳法12条の31項)

    しかし、A君の場合には借用書が無いからこの方法は難しいかもしれない
    ね」
    「B君を知ってる友人もいるから聞いてみるよ」

     職務上の権限による情報の取得について

    司法書士(弁護士、行政書士他)は職務権限で受任事件の遂行上必要な
    場合、住民票等の個人情報を取得することができます。
    (住民基本台帳法12条の3 2項 3項)
    今回のケースでは、その方法を使いません

    「ただ、ほんとに移転しているのかどうかわからないから、
    近くだったら、現地にいってみればいろいろ手がかりがある」

    「どんなことを調べるの?」
    「脱線するから細かく言わないが、現地にいけば、いろいろ手がかりになる
    ような事象を見つけることができる。
    場合によっては隣人に聞き込みしたりするといろいろ判断材料にはなる。」

    「さすが、債権回収やってた人だね。
    でもそれって違法にはならないの?」
     「そもそも債権者は(債務者の)自宅に行って支払いを催告できるから、
    自宅に行くこと自体は問題じゃない。
    ただ、貸主が貸金業者だと貸金業法の制約があるから、
    夜9時から朝8時までの訪問はできないし、
    また可能時間帯でも執拗な訪問はできない。

    個人間でも上記の時間帯の訪問は避けたほうが良いだろう。」

    その翌日
    「先生、B君の友人に聞いたんだけど、転居してるみたいなんだ。」
     「それでは、そこに内容証明を出しなおそう」

    「それで、ちょっと考えたんだけど、段階が進んで、訴訟とかになった場合、
    相手が訴状を受け取らなかった場合や移転先が不明だった場合には訴状
    が裁判所に返ってくるでしょ。
    そうなるとどうなるの?」

    「単に不在の場合だと、就業場所へ送達してもらうとか(就業場所への送達)、
    また、全く行方が不明の場合は裁判所の掲示板に訴状を掲示するだけで
    送達したとなる 制度があるんだ。〔公示送達〕
    詳しくは送達 をご覧ください。

    しかし、相手が行方不明の場合は判決とったとしても、回収が出来ない
    可能性がかなり高いね。
    消滅時効の中断の効果はあるけどね」
    消滅時効の中断については「消滅時効 」をご覧ください。

    訴訟の前段階資産の調査

    内容証明を送って1週間後、Bさんからは何の反応もなく、
    Bさんの電話も応答が無い状態が続いています。

    「せんせー、やっぱ払ってくれないね。」
    「次の段階に進もう。相手方が支払う意思はあり、回収に協力的であったら、
    公正証書による債務弁済契約(債務を履行する約束)を作成するんだが
    (公正証書については「公正証書による債務の履行の約束」をご覧ください。)
    こちらからの連絡に一切応じないのであれば、訴訟の手続きをしよう。」

    「訴訟の前に何かやるべきことはあるの?」
    「実に適宜適切な質問だね。
    実はそのとおり、訴訟を提起するまえに何をするべきかを話そう。
    訴訟は費用(訴訟費用については裁判所のホームページを参照して
    ください。)も時間もかかるので、 せっかく苦労して判決とったとしても、
    お金がかえってこなければなんにもならない。

    だから、相手方に支払い能力があるのか?
    判決をもらって「支払え」 と請求しても相手が支払わなければ、強制執行を
    しなけばならないが、 相手の資産がなければ、強制執行をしても空振りで
    終わり、執行費用と訴訟費用支払っただけで徒労に終わるということになり
    かねない。

    だから、相手方の資産について調べられれば調べたほうが良い。」
    「調べろったってどう調べればいいんですか?」

    「相手が法人(取引先の会社とか)であれば、(債務者の)取引先の銀行
    とかが判明すれば、債務者の預金口座とかがわかることがあるし、

    また、会社が入ってるビルや敷地なんかも不動産の登記簿をとれば
    〔法務局でも誰でも閲覧取得できる〕 会社の所有かどうかわかる、
    またその会社の取引先がわかれば、その取引先に対してもっている
    売掛金(取引先に対して売買代金等の支払いを請求できる権利) も立派な
    資産になる。
    しかし個人の場合はなかなかむずかしいね」

    「先生、昔取った杵柄で裏わざとかないの?」
    「ない。だが、B氏の勤務先は知ってるんだね。」
     「実は、B君と共通の友人が(Bと)同じ勤務先にいるんだけど、
    その友人に聞いたところでは、B君は現在C商事で辞めていない」

    「勤務先からもらう給料を差し押さえることができるんだ。
    ただし、(給料の)4/1までしかできないけどね。(民事執行法152条)」
    「毎月差し押さえることが出来るの?」
    「A君の貸金を全部払ってもらうまで毎月、給与の1/4づつ返してもらうんだ。
    詳しいことは「強制執行 債権執行」の頁で説明するよ」

    仮差押

    「(Bが)勤務先に今も勤務していることがわかったので、訴訟に進めるね?」
    「訴訟前に(場合によっては)するべきことがまだあるんだ。」
    「なんですか?」
    「訴訟が提起されたら、時間がかかってしまい、その間に債務者の資産が
    散逸されてしまうこともないとはいえません。

    だからそうならないように相手の資産をいわば、凍結させてしまうことが
    できるんだ。
    それが「仮差押」というのだけど、不動産に仮差押してもその後の債務者の
    不動産処分を仮差押権者に対抗できないし、預金に仮差押したら、預金か
    ら引き出しも出来なくなる。」

    「債務者としたら、どうせ判決とられるのなら、その前にわざと資産を処分
    する人もいるよね」
    「もし、債務者が財産隠匿目的で処分したりした場合には、債権者を害する
    ことを知って自らの財産を減少させる行為になるので、詐害行為といい、
    一定の条件のもとに、裁判所に(その処分の)取り消しを求めることが出
    来る。(詐害行為取消権 民法424条)

    例えば、債務者の資産である不動産の譲渡の場合に譲受人が詐害行為
    であることを知っていれば取り消しを求めることが出来る。」
    「今回は仮差押はしないの?」

    「まず、相手方の資産が分からない場合は、(仮差押を)かけようがない。
    そして裁判の始まる前に、仮とはいえ、相手の財産を差押えるのだから
    (仮差押により自由に財産の処分が出来なくなる)
    裁判の結果が相手方(仮差押された側)の勝利になった場合には相手に
    損害の補償をしなければならない。

    だから、保証金を供託しなければならず、また、仮差押命令を出してもらう
    には緊急性も必要でありなおかつ裁判官に(相手に対して正当な権利を持
    っていることを)確からしいと思わせなければならない。

    {証明ほど強い心証形成(合理的な疑いを差し挟まない程度に真実らしい
    と確信をいだかせるレベル}は求められないが、ある程度確からしいという
    推測を抱かせる心象が必要である(疎明)}
    緊急性については、例えば今仮差押をしておかないと貸金返還の裁判が終
    了するまでには現在特定されている債務者の資産がなくなってしまうおそれ
    (強制執行ができなくなってしまうまたは著しく困難になるおそれ)があるとか
    の理由が必要です。(民亊保全法20条)

    B氏の給与(債権)については、すぐに辞めてしまうとかのおそれについて不
    明で、また、債権を証明する書面(借用書)もなく、実際仮差押は難しいだろ
    うね、
    だから、状況を分析して仮差押をするべき場合を適切に判断しなければなら
    ない。」
    仮差押について詳しくは「仮差押 」をご覧ください。

    訴訟手続きの種類

    「先生、いよいよ訴訟手続きだね」
    「訴訟を提起する前に今回の件についてどんな手続きが最も適しているか
    を検討しよう」

    「訴訟って言ってもいろいろあるの?」

    通常の訴訟手続き以外にも訴訟と同様の効果を期待できる法的な手続きが
    あります。

    ※ 訴訟手続きの効果としては「債務名義」と言って債務者の財産から強制的
    に弁済させることの出来る公的な書面(判決)が取得できることです。
    (訴訟手続きの結果によっては取得できない場合もあります)

    しかし、通常の訴訟手続き以外にも債務名義を取得できる法的手段は
    あるのです。

    以下、簡単にご紹介します。

    支払督促

    簡易迅速な法的手続きで「支払督促」というのがあります。
    債務名義を取得するのと同様の効果がえられることが最大のメリットです。

    詳しくは「支払督促 」をご覧ください。

    債務名義とは 強制執行によって実現されることが予定される請求権の
    存在,範囲,債権者,債務者を表示した文書のことで、強制執行申立て
    る際に強制執行ができることの根拠を表したものです。

    少額訴訟

    少額訴訟とは訴訟の目的価額が60万円以下の場合
    通常の訴訟より簡易迅速に解決することを目的とする手続きであり、
    1期日審理の原則により、原則1回の期日で審理を終結するものです。

    詳しくは「少額訴訟 」をご覧ください。

    即決和解

    即決和解とは民法上の紛争について、簡易裁判所に和解の申立をし、
    裁判所で和解内容を和解調書(確定判決と同様の効力を有する)に
    記載してなす簡易迅速な和解手続です。

    詳しくは「即決和解」をご覧ください。

    公正証書

    公証人が権利義務に関する事実について作成した書面であり、
    金銭その他代替物、有価証券等の給付の権利に関する公正証書で、
    債務者が「債務を履行しない場合は、直ちに強制執行を受けても異議が
    ない」旨の強制行認諾条項がある場合は債務名義となり、公証人に
    執行文の付与を受けると債務名義となり強制執行可能となります。

    詳しくは「公正証書 」をご覧ください。

    訴訟手続

    「先生、次は訴訟手続きだね」
    「そうだね。いままでの流れでは書面による催告は功を奏せず、
    相手方に弁済させるための財産があることを確かめたうえで、
    訴訟手続きやる段階になったわけだね

    それでは、A君が聞きだしたB氏の住所を被告の住所として訴訟を
    提起しよう。

    訴状を裁判所に提出すると裁判所から被告側に送達されるのだが、
    被告は個人の場合だと送達がうまくなされないことが少なくないんだ。
    これが届かないことには訴訟が始まらないからね。」

    送達

    その後、裁判所から連絡があり、送付した訴状が届かず、
    裁判所に返ってきたとのこと。
    「どうも、宛先に宛名人がいなかったってことではなくて、
    宛名先に宛名人はいたようなんだけど、宛名人が不在で不在通知に
    対しても何ら再配達依頼が無かったみたいなんだよ。

    個人の場合で、しかも債務がある人についてはよくあることなんだよ。
    訴えられることにつき自分の身に覚えがあって受け取りをしない人は
    結構いる。

    私も業務で料金を支払ってくれない人に書留で「辞任通知」
    (委任している事項について一方的に解除する旨の通知)を送っても
    受け取りが無く(書面が)返ってきたりはよくあるし、
    また、人によっては、自分宛の書留郵便も差出人が知らない人だった
    ら受け取らない人もいる。

    同じく業務で相続人の特定のために推定相続人に書留郵便を送っても、
    住所地にいるが、受領しない人も意外と多い。
    話が脱線したから元に戻ろう。」

    「その場合には方策はないの?」
    「いろいろあるから心配無用だよ。
    詳しくは「送達」をご覧ください。
    とりあえず、相手がいるような時間帯に時間指定の送達をしてもらっても
    良いが、送達は郵便の特殊取り扱いの「特別送達」(郵便の特殊取り扱
    いの用語)には郵送料金が1000円以上かかって安くないんだ。
    だから確実な方法で「就業場所への送達」をやってもらおう。」

    「 『就業場所への送達』であれば確実に届くの?」
    「それはそうともいえない、就業場所に本人がいる場合でも本人が受領を
    拒んだ場合は送達できないんだ。
    就業場所以外の場所(住所、居所)であれば送達を受けるべき者
    (この場合被告であるB氏)や(宛名人が経営者の場合でその会社の)
    従業員や同居人が正当な理由無く拒否したら、
    その場に書類を差し置くことができる(民事訴訟法106条3項差置送達)
    が就業場所では差置が認められない。

    そして就業場所では、本人以外の者(勤務先の会社の従業員や社長)が
    受領を拒まないときは送達することができるが、拒否されたら送達できない
    といろいろ制約がある。」

    「就業場所に最初から送達してもらうことはできないの?」
    「それはできない。
    原則は送達を受けるべき者の住所や居所ときまっているんだ
    (民事訴訟法103条1項)
    その場所(住所居所)が不明なときや送達に支障ある場合に初めて
    就業場所への送達が可能となる。(民事訴訟法103条2項)」

    「就業場所への送達がうまくいかないときはどうなるの?」
    「就業場所で送達できないとき、住所居所で不在により本人や同居人等
    に会わないときは(つまり差置送達もできないとき)は裁判所の書記官が
    書留郵便で送達した時点で送達となるという「書留郵便に付する送達」
    (付郵便送達という・・民事訴訟法107条)という制度が利用できる。」

    「いや、よかった。どうなることやらと思ったけど」
    「更に書留郵便に付する送達で送達できない場合
    (住所や居所、就業場所が不明の場合)には公示送達といって
    裁判所の掲示板に送達書面を掲げるだけで送達されたとみなす制度
    がある(民事訴訟法110条〜)」

    以上、送達について詳しくは「送達 」をご覧ください

    「最初から住所が不明だったり、(送達を)受け取らないことがはっきりしてい
    る場合にはいきなり、付郵便送達や公示送達はできないの?」
    「住所や居者や就業場所が全く分からない場合は最初から申立ができる
    が、住民票の写しや調査書等の疎明資料が必要となる。

    付郵便送達については、さっきも言ったように補充送達
    (就業場所以外で従業員や同居人に交付する送達)や
    差置送達が出来ない場合に送達が許される。〔民事訴訟法107条〕

    段階を踏んでいかないとだめだということだ」
    「さっきの場合の不在で書面が返ってきた時に、もし転居先不明であれば、
    公示送達の申立ができるの?」
    「実務上は裁判所の書記官から住所や就業場所の調査依頼がきて、
    調査後、どこにも所在が知れない場合に公示送達の申立ができるよ」

    以上、上記で説明した送達の各種類についての実施の順序や方法に
    ついては、各裁判所によって 運用が異なる場合があります。
    詳しくは、管轄の裁判所に問い合わせください。

    裁判

    その後、無事就業場所での送達ができて、第一回期日が(裁判所に出頭
    する日)が到来しました。
    A君の債権(B氏に貸した金額)は30万円なので、
    (簡易裁判所において認定司法書士に代理権があるので)
    A君が司法書士に事件を委任すると
    司法書士が代理人となって裁判所に行って訴訟行為を代理行使でき
    るのですが、A君は今回、司法書士に依頼せず、自分で訴状等の書面を
    作成して、A君本人が法廷に出ることになりました。

    「A君どうだった?裁判所にいってきたかい?」
    「それが、相手が出てこなかったんだ。
    答弁書も出してこなかったみたいで。
    それで裁判官が『どうしますか?』と聞いてきたから先生に言われたとおり
    に、『終結してください』と言ったら○月○日に「判決」がでることになったよ」

    「そりゃ、良かった、相手が、否認(こちらの請求の原因について、
    『その通りではない』と否定的見解を示すこと)してきたら、
    客観的証拠が乏しいA君としては長期戦にならざるをえなかった。」

    「長くなるとどのくらいになるんですか?」
    「前に私が対応した貸金返還請求訴訟では、被告側だったんだけど、
    相手の『金返せ』という請求に対し、『金銭は受領した。しかし、
    給与として受領したもので、借りた事実はない』と否認した。

    結果第一審判決で勝訴した。
    相手が控訴してこなかったんだが、それでも、半年以上はかかったからね。
    第1審だけで1年以上かかるのは珍しくないよ。」
    「金を借りたのに『借りてない』と言うような人っているの?」

    「そりゃーあるさ、嘘をついているケースもあれば、双方の認識の相違
    というのもある。
    一方は貸したつもりでも、他方はもらったつもりでいたとかね」

    判決が出た後の請求

    「先生次はどうすれば?」
    「それでは、判決書が出た時点でもう一回請求してみよう」
         「払ってくれたらよいけど」

    判決書に基づいて請求を試みましたが、相手と連絡がとれません。

    「よし、それじゃ、次のステージは強制執行だ」
    「しかし、判決が出ても支払いしない人っているんですか?」

    「そりゃーいるさ、判決が出たら、必ず支払えば強制執行なんていらない
    からね」
    「でもそれだと判決書ってどういう意味があるの?」
    「確かに判決書とっても次の段階に進まなければ、只の紙切れだね。
    だが、(確定)判決は債務名義といって、強制執行が出来ることを公に証する
    書面なんだ。」

    強制執行

    「さーいよいよ強制執行だね。」
    「強制執行はどんな種類があるの?」

    「それでは、強制執行手続の内容と種類について簡単に説明しましょう」


    強制執行の解説については本筋から省いても差し支えないので、
    興味の無い方は、読み飛ばしてもらって、 「給料の差押」からご覧ください。

    強制執行

    強制執行とは、債務者が任意に債務の弁済をしない場合に債務名義を
    取得し、裁判所に申立をすると強制提起に相手の財産かを処分し、その
    換価代金から債務の弁済を受ける法律の制度金銭を債権者に交付する
    「金銭執行」と金銭以外の何らかの行為を強制的に実現する執行があり
    ます。

    例えば、建物から債務者を追い出して債権者に明け渡す執行や騒音を
    出させないようにさせる行為をさせない ような種類の権利の実行もあります。

    債権回収の局面では、圧倒的に金銭の交付の執行が多く、
    ここでもそれに絞って解説します。

    金銭回収のための強制執行としては
    「不動産に対する強制執行」
    「動産に対する強制執行」
    「債権に対する強制執行」があります。

    不動産執行

    「不動産執行は、活用されてないの?」
    「そんなことはない。バンバンされている。
    私が、債権回収を行っていた会社にいたときもバンバンやってたし、
    不動産競売に入札する業務を(不動産会社で)していたときも多くの
    不動産物件が競売の入札対象になっていた。

    しかし、個人間の貸し借りのような金銭消費貸借では、
    不動産に担保件を設定するような場面は極く少ないだろうし、
    (担保権に基づく強制執行)債務者が不動産を所有していても既に多くの
    担保権者が優先的に担保権を設定している場合も多く、配当に預かれな
    い場合が多い。

    また、仮に担保は設定されていない不動産を所有していたとしても少額の
    債権の場合は弁済してもらう金額よりも(不動産に対する強制執行である)
    強制競売の申立の手数料が高くなることもある。

    通常、銀行等の金融機関が不動産に融資の担保として担保権を設定する
    場合が多いね。

    動産執行

    そして動産執行は、実質的に債権回収が出来ない。
    私も過去やっていたが、現実的に債権回収としては使えない
    (特殊なケースを除く)

    動産執行とは、執行官が債務者の自宅や営業所に乗り込んで行って
    動産を差押え、換価して配当を行う執行だが、家財の主なものは差押
    禁止財産となっており、差押できない。

    たんすや洗濯機TV,家電製品のほとんどは、
    債務者が生活をする上にないと支障をきたすものであるから差押が
    禁止されている。(民亊執行法131条)

    現金があれば動産執行の対象となり差押できるが66万円までは差押禁止
    財産である。(民亊執行法131条3号 標準的な世帯の二月間の必要生計
    費を勘案して政令で定める額の金銭 
    現在は政令で1月33万円となっており、66万円が禁止対象の金額である。
    だから、債務者の家屋の動産のほとんどは差押できず、また仮に差押でき
    たとしても容易に換価できず、換価できたとしても保管料等の維持費のほう
    が高くついてしまうことも多い。

    通常は換価不能で保管費用支払って赤字の場合がほとんどである)
    よってあまり高額でない債権で個人間でも法人間でも最もよく利用され、
    回収できるのは債権執行である。

    売掛金の差押、預金口座(債務者=口座名義人、第3債務者=銀行)
    給与債権(債務者=給与を支給されている従業員、
    第3債務者=債務者の勤務する給与を支払っている会社)
    等が良く利用される」

    債権執行については、「強制執行 債権執行」をご覧ください。

     強制執行について、詳しくは「強制執行」をご覧ください。

    給料の差押(債権執行)

    「それでは、B氏の給与債権(給与)を差押えよう。
    この場合、従業員であるB氏はC会社に勤務しており、C社に対して
    (B氏は)「給料払え」と請求する権利がある。これが給与債権だ。」

    「その給与債権を差押えるんだね」
    「そう。まず、B氏の住所地を管轄する裁判所に『債権差押命令申立書』を
    提出して債権執行を申し立てる。」

    第3債務者

    「先生、この差押命令がB君の住所に送達されても
    B君が受け取らなかったらどうなるの?」
    「債務者に送達されないと債権の取立ができない。ということになるね

    B氏が働いているC社を法律用語で第3債務者と言うのだけれど、
    これは債権者(A君)にとっては貸金を返す義務があるB氏が債務者、
    BはC社に対して『給料を払え』という債権(給料をってもらう権利)を有
    しているので、(BとCの関係は)Bは債権者、C社はBにとって債務者と
    なります。

    よって債権者のA君からみたら、C社は債務者(B氏)の債務者、
    つまり、第3債務者ということになる。
    B氏の銀行口座を差押える場合も同様で例えばB氏がD銀行に自分名
    義の預金口座を有しているとする。

    口座に預金がある場合にB氏はD銀行に『預金口座の預金を私に払え』
    という権利(債権)を有していますが、D銀行は債務者であり、債権者の
    A君から見た場合、D銀行は第3債務者となる。」

    差押命令の送達

    「僕にとって、全くかかわりの無い人が(第3)債務者になるなんて不思議な
    感じだけど、説明聞いてわかったよ。」
    「そして、債権差押命令は第3債務者(C社)に送達された時点で差押の効
    力が生じる。(民事執行法第145条4項)

    債務者(B氏)に送達された日から1週間が経過すると取立権(第3債務者
    に差押金額を請求できる)が発生する(民事執行法155条1項)

    だから、債務者や第3債務者に送達されない場合は、差押の効力が発生し
    ないので、C社から差押金額を取り立てることはできない、

    またこれは法律で決まっているわけじゃないんだけど、(法令に該当条文
    が無い)先ず、第3債務者に送達してから債務者に送達する取り扱いをし
    ている裁判所が多い。

    債務者に事前にまたは、同時に送達すると差押の効力発生前に債務者が
    債権を処分してしまい、差押ができなくなる場合があるから。
    特に銀行が第3債務者の場合は、すぐ口座から預金を下ろされてしまうこと
    が多い。」

    「ふーん、相手方への送達は重要なんだね。
    ところで差押命令の場合は相手が受け取らない場合、
    訴訟のときのような取り扱いはあるの?」

    「訴訟手続きの送達の取り扱いと同様に、時間、休日指定の再送達や
    就業場所への送達、付郵便送達、公示送達等がある。
    第3債務者に対する送達も同様だ。
    だから、最終的に差押の実行は可能になる。
    裁判所によっては、第3債務者に対する付郵便送達を認めない裁判所
    もあるようだ。」

    差押の競合

    「それじゃー一応安心だね」
    「B氏はA君以外から借金をしてる?」

    「そういえば、僕に借りるときに借入がいっぱいになってどこからも
    借りれなくなったんで貸してくれって言ってたよ。」
    「そうすると他の債権者と差押が競合するかもしれないね」

    「競合するとどうなるの?」
    「差押えた金額の範囲が、他の債権者とA君の債権額の合計金額よりも
    低い場合は債権額の割合で配当を受けることになるね。
    詳しくは
「強制執行 差押の競合〜配当要求」 をご覧ください」

    取立訴訟

         「もうひとつ質問、もしC社が『あんたには払わないよ』として素直に差押分
         を払わなかったらどうなるの?」
         「良い質問だね。
    実はA君の指摘する事例は少なくないんだ。

    第3債務者が銀行なんかだと、払わないケースはあまりないんだが、
    給料を差押える場合に、債務者とその雇用者(第3債務者)が親密な
    関係の場合も少なくなく、差押命令に従わない場合もある。

    私が過去、関係した給料の差押でも債務者の勤務する会社が債務者の
    親族が経営する会社で会社の社長は支払いをしなかったこともあった。
    その場合は、第3債務者に対して取立訴訟を提起して、判決が確定しても
    払わない場合、第3債務者に対して強制執行を申し立てることになる」

    「差押命令がでてるのに、また訴訟をやらなきゃいけないの?」
    「A君が疑問を感じるのは無理もない。苦労してここまできたからね。

    しかし、裁判で判決をとったり、強制執行の申立てをしたのは、
    相手(債務者)がBさんであり、C社ではない。
    C社に対して払わせるためにはC社に対して訴訟を提起してC社に対する
    債務名義を取得し、強制執行の申立てをしなければならない。

    だから、また、費用と時間がかかる。」
    「うーん、B君にお金払ってもらうだけで、こんなに大変な時間と手間、
    お金がかかるんだね。
    僕は、返すべきお金を返してもらえず、面倒な手続きをしなければならなくて、
    踏んだりけったりだよ。」

    「確かにそのとおり、
    しかし、相手から公的な権限で他人の財産に対して執行するというのは、
    もし間違いがあった場合、財産権を侵害する等大変な事態になるので、
    正当な権利かどうかを確認した上で慎重に手続きをしていかなければ
    ならない。

    例えば、A君の財産が、ある日突然、理由も無く、他人のものになったり
    したら、安心して生活できないだろう?」

    「確かにそうだね。
    法的手続きが面倒で時間がかかるのは、人の権利や財産を不当に侵害
    しないような仕組みになってるんだね」

    債権執行の申立及び執行

    「先生、それじゃ、早速その債権執行というのをやろうよ。」
    「それでは、早速やろう。」

    その後、裁判所に債権差押命令を申立てました。
    給料の差押は、債務者の生活の保護も考慮して給料1回分(手取り金額)
    につき、総額の1/4までしか差押することはできません。
    (民事執行法152条・・・退職金も同じ)

    月額の給与の3/4が33万円を超える場合は、33万円を超える部分は
    全額差押が可能です。(民事執行法施行令第2条1項)

    B氏の給与は月額手取りが20万円、1/4は5万円です。
    A君の債権は30万円です。
    よって、6回に分けて5万円づつ、第3債務者から支払いを受けることに
    なります。

    「せんせい、無事に入金があったよ。」
    「よかったね。
    今回の場合は、相手が借りたことを認めていたから良かったが、
    借りてないと言われた場合、証拠が無いと勝つのは難しくなる。

    もし、今後、他人に金銭の貸付をする場合は借用書を作っておくこと
    だね。」
    「わかったよ。今回のことは良い教訓になった」

                     
 

   債権回収の具体事例
 

    債権回収は、具体的にどう進んでいくの?
    依頼した場合どのような流れになるの?
    債権回収の手続きの流れを具体的な事例を用いてわかりやすく
    ストーリー構成にして説明します。


     1、 Dさんの請負代金請求
         (契約書がない、相手が仕事の不備を理由に代金を支払わない)

     2、  A君の貸金返還請求 
         (個人間の貸借、契約書がない 相手は金がないからと返済をしない)

     3、  Aさんの売掛金(売買代金)請求
        (契約書がない、少額債権、消滅時効期間完成が間近)

     4、 Bさんの売掛金請求
        (契約書がある、仮差押手続きを申立て請求)

     5、 Cさんの売掛金(売買代金)請求
        (契約書がない、相手はCさんから商品を買っていないと主張)

 
  

          債権回収Q&A 

     債権回収に関してよくある質問、知りたいこと、疑問点についてわかり
     やすく説明しています。  

     債権回収Q&A をご覧ください。

     


     債権回収手続きサイトの目次

     債権回収手続きに関して、本サイト中でどんな場合にはどんな頁を
     参照すればよいのか?

     それについては「債権回収手続きについてのご案内」をご覧ください。   

     
     債権回収の注意事項

     1、 消滅時効 いつまでも放置しておくと回収が不可能になります。

     2、 契約書がない。証拠が無い。
       回収が出来ないとあきらめる前に先ずご相談ください。
       口約束だけでも回収できる場合も結構あります。


     債権回収の具体的受任業務案内

     当事務所の債権回収の受任業務内容についての具体的な例示
     事項は下記のとおりです。

     下記に項目がない場合でも、対応できる業務は多数あります。
     お問い合わせください。

     売買代金(売掛金) 
     小売店の売買代金、飲食店の飲食代金、部品、出版物、
     その他様々な売買代金(物を売ったが、代金を払ってくれない)

     請負代金 
     デザイン、看板、設計 ○○製作 修理、

     請負工事代金 
     建築工事、リフォーム工事(内装・外装工事)

     養育費、慰謝料の請求
     
離婚した元配偶者が養育費を払ってくれない。

     医療機関、歯科、美容整形等の医療費・診療報酬

     レンタル代金、リース代金

     各種美容業務料金 
     エステサロン、ネイルサロン、整体マッサージ

     各種学校・教室の受講料金・授業料
     
学習塾・予備校・技能学校・専門学校・
各種教室の
     (ピアノ・ダンス・絵画・茶道・パソコン・語学等)レッスン代金

     敷金返還請求
     詳しくは敷金返還請求 をご覧ください。

     滞納家賃、管理費用
     家賃滞納に伴う建物明け渡しに関しては 「建物明渡請求」サイトをご覧ください

     個人間の貸借の返還請求
     
個人間で貸したお金の取り返し

      注:下記の債権については、当事務所では受任できません。
      ※ 営業目的の貸付による貸借については受任いたしません。
      ※ 利息付の約定で貸し付けた貸借については受任いたしません。

     上記に例示されていないその他未入金、未回収の債権についてお気軽に
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